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変容する世界

2020総統予備選は、民進党が終了し国民党はやっと開始

6月13日に、民進党予備選結果が発表され現職総統の蔡英文氏が頼清徳氏を破り総統選候補となりました。予備選は蔡総統に有利なように3度も変更されたので結果は民意調査が始まった時点で予想されたものでした。

頼清徳氏はかねて言明していたようにいさぎよく蔡総統支持を表明しました。このフェアプレーの精神は蔡総統も評価せざるをえませんでした。これで頼氏は次の2024年につないだといえるでしょう。


#20190613 DDP

蔡英文とその周辺の宦官たちが非民主的な手法でチャレンジャーの頼清徳氏を退け、そのことで台湾本土派の支持を失いました。蔡総統を支持するのは目下無党派若年層ですが、しかしこれまでKMTとの闘いで台湾の民主と自由を勝ち取ってきた人々は来年の選挙では蔡総統に投票しないでしょう。

蔡英文こそ政権批判を許さない独裁政権の様を呈しています。非民主的なインチキ操作をしてまで次期総統候補になりたいのには理由が二つ考えられます。
①自己の理想と抱負に絶対の自信があり、ゆえに他者の批判も挑戦も許さない。
②台湾本土派政権を瓦解させたい。

①の場合は思いあがった根性でまさに独裁者の思惟にほかなりません。②の場合はスパイ。蔡総統の場合はさてどちらでしょうか?

わたしは蔡総統が誰にも言わずしまいこんだ台湾を確実にチャイナの併呑野心から救う大戦略があることを信じたいのです。しかしそれなら今回の総統予備選がそれをほのめかす最大のチャンスでした。しか残念ながらそういうものは一切示されませんでした。このままでは台湾の民主と自由どころか「主権」さえ失われるでしょう。その危機感から頼清徳はあえて現職総統に挑戦したのです。それに対するに非民主的対応しかできなかった蔡英文の政治家としての質に疑問符を打つしかありません。



とはいえ、民進党と国民党の二党制のもとでは台湾本土派の選択は蔡英文しかなく、多くの民進党支持者はやはり涙を呑んで蔡英文に投票するしかないでしょう。

また、無党派層とくに若年層は民進党の泥臭さを嫌っており、緑色を限りなく薄めた蔡英文を好む傾向があるようです。この層は一方で柯文哲も支持しており「英粉柯粉一家親」(両岸一家親をもじったいいかたで英文ファンと柯ファンは重なっている、という意味)という言い方があるようです。

柯文哲を台北市長に押し上げた「白色力量」はいまだ健在のようです。この「白色」は緑も藍も含んでおり、先進国の選挙で普通に見られる中間無党派層の動向が選挙の勝敗を左右するという傾向が台湾でも著しく、それゆえに蔡英文氏も主にそれに向けてキャンペーンを行っているのです。いわば脱民進党路線ともいえるでしょう。

さて、国民党の予備選が開始され25日には政見発表会が行われました。


主役である郭台銘 韓國瑜両氏ともに「一国二制度」と中共による統一には反対と述べましたが、まあポジショントークということでしょう。わたしはむしろ、予備選からは撤退したものの総統選への意欲を堅持している王金平氏の動向が気になります。

最近の民意調査では蔡英文氏が郭台銘 韓國瑜両氏および柯文哲氏をリードしていますが、投票まであと半年、何が起こるかわかりません。

このKMT予備選よりさらに興味深い出来事がありました。それは23日に総統府前で行われた反赤色メディア集会でした。

これは、「館長」と呼ばれる陳之漢が呼びかけ太陽花運動のリーダーの一人で時代力量の前主席・黃國昌がこれに応えて共同主催者となって行われたものです。

#guanzhang

「館長」はもと海兵隊員でYouTuber、企業家、武術家でKMT支持者ですが今の親中KMTには反対で、あくまで台湾すなわち中華民国を守るという立場です。1124地方選では韓國瑜を支持したものの、その後の韓には失望しそれへの反省からも今回の中共に買われ韓國瑜を連日もちあげる「報道」プロパガンダを繰り返す中天TVを有する旺旺中時媒體集團への怒りが爆発した模様。

11日の自らのYouTubeライヴで黃國昌氏に呼びかけたところ、黄氏がこれにすぐ応じたのでした。

愛国のためなら政党や左右両翼の立場を超えて協力するという、日本以外では普通に行われていることが、台湾でも大いに発揚されたのでした。




この集会にはおそらく淺綠(どちらかといえば民進党)および淺藍(どちらかといえば国民党)と呼ばれる無党派若年層が多く結集していた模様です。この層は民進党現指導部がターゲットにしている票田なので、党秘書長・羅文嘉氏と立法委員・王定宇氏の二名が集会に参加し挨拶しました。

しかしKMTからは誰も参加しませんでした。

このことが来る2020総統選・総選挙を占う試金石にもなったように思います。
上に述べた「英粉柯粉一家親」の票がこのままでは蔡英文氏に流れ込むでしょう。











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  1. 2019/06/26(水) 16:55:55|
  2. 台湾
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記録映画『紅盒子』(赤い小箱)を観る

記録映画で思い出したのですが、5月にはもう1本他の台湾の記録映画を観ていました。

当日のFacebookに書いたものを以下に再録しておきます。

<引用開始>

本日5月19日デユッセルドルフで『紅盒子』(赤い小箱)特別上映会が催されました。

侯孝賢監督の映画出演で有名な布袋戲の巨匠・李天祿の長男でその後継者、自身も台湾国宝級の巨匠となった陳錫煌師の演技と心の葛藤を10年にわたって記録した映画が『紅盒子』です。記録映画の枠を超えて父と息子の関係性を深く考えさせる仕上がりとなっています。 

消えゆく伝統芸能の布袋戲に華麗な装いをもって別れを告げたかった、と監督の楊力州氏は映画のモチーフにつき上映後のQ&Aで語っておられました。それは台湾文化部での試写会で鄭麗君部長に、なぜこの映画を撮ったのか、と問われての楊監督による答えでもあったそうですが、その答えを聞いた鄭部長は子供のように泣き崩れたそうです。鄭部長はその後、布袋戲への公的援助を開始したそうです。

 

この映画の主要テーマは布袋戲の繊細な演技技術や後継者の育成の記録ですが、偉大な父・李天祿とその巨大な影のもとで疎まれながらも父の仕事を継いだ陳錫煌師の心情が苦い味付けとなって映画の後味として心に残ります。英文タイトルは『Father』ですが、この裏タイトルが映画の深層面を表徴しています。

一方で滅びゆく伝統芸能に対する哀惜と、他方で母親の陳姓を継がされたためか父から冷たくされた陳錫煌師の悲哀が織りなす物語は記録映画とは思えない感動を与えてくれます。二つの物語を結ぶものが、劇の守り神「田都元帥」がおさめられた『紅盒子』(赤い小箱)なのです。陳錫煌師は心をつなぐことができなかった父への思いをこの「田都元帥」にこめたのでした。この赤い小箱はけっきょくは意外な場所へと送られたのですが、それは映画を見てのお楽しみということにさせていただきます。

少しお話しをうかがった楊力州監督によると、この映画『紅盒子』(プロデユーサーは侯孝賢)は今年11月に日本で劇場公開されるそうです。詳しいスケジュールが決定したらまたお知らせすることにします。

<引用終了>





  1. 2019/06/16(日) 22:26:00|
  2. 紅盒子
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『我們的青春,在台灣』欧米上映ツアーで傅榆監督に会う

6月13日に、民進党総統予備選の結果が発表され、蔡英文氏が頼清徳氏に8.2%の差で勝利しました。頼氏はかねて表明していたように2020年総統選民進党総統候補として蔡総統を支持すると再度表明しました。

これについてはあらためて記事をあげたいと思います。

その前に、映画の話です。5月22日から7月13日まで『我們的青春,在台灣』欧米上映ツアーが行われています。傅榆監督は全行程を駆け巡っています。

この映画は太陽花運動前後の期間、二人の人物に焦点を合わせて生活や行動を記録したものです。その一人は林飛帆とならんで立法院占拠のリーダーだった陳為廷、もう一人はチャイナからの留学生・蔡博藝です。

作品は、2018年の金馬賞で最優秀ドキュメンタリーとして受賞し、その際の傅榆監督の勇気ある受賞演説で大きな話題となりました。




演説内容は過激に台湾独立を叫ぶものではなく、「わたしたちの国がいつの日か真に独立した個体としてみなされる日がくることを望んでいます。」という穏当なものでした。

にもかかわらず、かっては台湾・香港の映画業界のお祭りだった金馬賞もいまやチャイナの影響力が極めて強い統一戦線の場となりはてている状況の中では、このような穏当な表現ながら台湾独立宣言とみなされチャイナから参加していた業界人がただちに台湾を去る、という騒ぎとなりました。

ではどんな内容の映画なのかという興味が湧くのは当然です。

公式予告↓

傅榆監督は、太陽花運動のオムニバス記録映画『太陽、不遠』の中の一篇『不小心變成總指揮』(不注意で総指揮となる)を演出しており、その一篇は陳為廷の姿を追いかけたものでした。

ゆえに、今回のものはその続編と考えていました。

しかし、監督に直接うかがったところでは、そう簡単なものではなく、太陽花運動の前後7年間にわたる記録であり、太陽花運動がなぜ発生したのか、その後どうなったのか、をめぐるものだそうです。

なぜ監督と話ができたかといえば、前記欧米ツアーの一環でボーフム大学で6月6日に上映会が行われ、その前後に監督をアテンドする機会があったからです。

S DSC08970
上映後のQ&A

映画の内容についてはストーリーが重要なポイントではないので紹介してもかまわないのでしょうが、やはりこれからご覧になる方々のためにひかえておくことにします。

ただ一つだけ、映画終盤でそれまでの経過による「失楽感」が漂うのですが、映画をどう終えたらいいのか監督が迷う、その姿をカメラが記録するというシーンがでてきます。

かなり映画の構造を壊す大胆な試みです。創造的破壊といってもいいでしょう。

監督がカメラの後ろから前へとでてくることで、タイトルの『我們的青春,在台灣』(われらの青春、台湾にあり)の「われら」に監督自身も含まれる、ということが明らかになります。

監督の考えではこのエンディングとして13のヴァージョンがあり最終的に現行ヴァージョンを選ばれたということです。

しかし、行き場のない「失楽感」から観客を救いあげてくれたのがエンディングからタイトルバックに流れる主題歌でした。



この主題曲の公式ヴィデオには以下の監督によるキャプションがつけられています。

傅榆:「如果你沒有把這首歌聽完,就等於沒有完整地看完這部電影,因為它也是創作的一部分。」
(もしあなたがこの曲を聞き終えないのなら、この映画を見終わってないことに等しいのです。だってそれは創作の一部分だからです。)

我們一起寫下
深愛過的青春
卻忘了完成
告別的那頁
 
我會繼續向前
若再能有交會
或許會與你分享
你不在的續篇

あえて訳しませんが字面でお分かりになると思います。まさに「青春映画」の主題歌にふさわしい歌詞と曲そして歌だと感じました。

なお詞╱曲╱演唱の楊彞安は監督のパートナーだそうです。

#20190607

ツアーの強行日程のためかあるいは北米の気候が台湾と違い過ぎた為か、来独された監督は体調をくずされておりアテンドもあちこち案内することや色々面倒な質問をすることもためらわれ、せっかくの機会でしたが映画についてさらに深くつっこんだ話をきくことはかないませんでした。

ただある種の個人的関係を築いたということに終始したのです。ゆえにそのアテンド内容についてはオフレコとします。監督は、のちにインスタグラムでわたしと妻のことについて軽くふれてくれました。

上の一枚はネットでひろったものですが、監督はちょうどこのオーヴァーを着こんでいました。当日の気温は15℃前後でわたしには初夏の爽やかな一日でしたが、台北で生まれ育った監督は、「わたしにとっては冬です」とふるえておられました。

傅榆監督はすでに健康を回復された様子、あと一月のツアーが大盛況であることを祈っています。







  1. 2019/06/16(日) 19:40:00|
  2. 我們的青春,在台灣
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Author:丸山光三
世界は変容する。変容させようとする力が作用するからだ。しかし、かってにそうはさせまいとする吾等の力を示そう。世界はやつらのものではなく、けっきょくは吾等のものであるべきだからだ。

イザ・ブログ消滅にともない<丸山光三或問集(旧マルコおいちゃんのヤダヤダ日記)><アムゼルくんのブログ>を吸収合併。

ついでに忍者ブログの<ドイツ生活ああだこうだ事典>もこちらへ吸収合併凹凸

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