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【シナ救済】 義による人々

、とはわれわれがシナから輸入し現に使用している概念ですから、意味上はシナのそれとほとんど違いがありません。

 

仁義礼智信とは儒家のいう「五常」です。「五倫」とも「五徳」ともいって人が常に持つべき倫理(モラル)をのべたものです。なかでも「仁」と「義」はその中心となるものです。しかし≪論語≫にはこれらの語を並べて論じた部分はなく、「五常」という言葉もありません。しかしこの五つの概念は個々に述べられています。

 

「義」については以下が有名です。

 

「子曰、見義不為、無勇也。」(為政第二)
 

子曰わく、「義を見て為さざるは、勇無きなり」

 

義、とは「正しい道、道理にかなったこと、人道に従うこと」(≪岩波国語辞典≫)にほかなりません。

 

しかしその指標はそうであったにせよ、儒家により為政者に期待された「正しい」モラルは、あまり実現したことがなかったのは、シナの歴史が証明しています。

それは今現在チベットで行われている事実にも如実に現れていること、みなさん納得されることと思います。


むしろ以下のような言説が現実であったでしょう。

 

大道廃有仁義、知恵出有大偽。六親不和有孝慈、国家昏乱有忠臣。

「道」が廃れて仁義の概念が生まれ、知恵が現れてそれによる偽りが生じる。

父子兄弟夫婦の不和により親孝行子への慈愛という概念が生まれ、

国家が衰え混乱して忠臣の概念が生まれる。

 

老子≫【第十八章】に見える言葉です。老子らしいアイロニカルな、しかし真実をついたものであるといえるでしょう。

 

世に聖人は現れず乱世が続いて、これらの徳目は、むしろ義侠といわれまた遊侠といわれる人たちによってになわれてきたのです。

 

史記≫【遊侠列伝序】に司馬遷は以下のように述べています。

 

 

今游俠,其行雖不軌於正義,然其言必信,其行必果,已諾必誠,不愛其軀,赴士之阨困,既已存亡死生矣,而不矜其能,羞伐其德,蓋亦有足多者焉。

 

今遊侠は、その行いは正義に基づくとはいえないが、その言に信あり、その行為に筋が通り、引き受けたら誠実におこない、その身を顧ず、困難に飛び込み、命を度外視し、その能力を誇らず、手柄話をしない、蓋し亦これらに足るものはけっこういるものだ。

 

シナの帝国の秩序が整えられた漢代には、すでにもうこれらの遊侠の行為が司馬遷により注目されており、皇帝の伝記である「本紀」、諸侯の伝記である「世家」とならんで、それ以外の伝記である「列伝」のひとつとしてわざわざ遊侠について触れられていたわけです。

 

ここからも、安部氏が洪門の精神的背景としてこの≪史記≫の【遊侠列伝】を≪墨子≫とならんであげておられことの意味が知れるでしょう。

 

それは洪門という組織の自己証明としての物語の神話化であるかもしれません。しかしそれはそれとして、このような義に生きる人々の伝統が、孔子が期待した為政者ではなく、民間でこそ生き生きと活性化していたことの意義をわれわれは知らねばなりません

 

安部氏は以下のように述べておられます。

 

「私は、日本の任侠に生きる人とも、また中国の遊侠に生きる人とも、色々と付き合いましたが、一流と呼ばれ、カタギの人たちから慕われるている人(侠客)には、みなこうした条件(引用注、上記【遊侠列伝序】に述べられた)が備わっていたと感じています。司馬遷の時代から二千百年も過ぎた現代に至っても、大衆から慕われる侠客の条件は不変なのです。」

 

 
シナ人たちにもファンが多い「ケンさん」こと高倉健は、いわゆる「ヤクザ映画」のヒーローだった。

 

全共闘」華やかりしころ、東映はいわゆる「ヤクザ映画」という路線をとり、「暴力革命」をめざす学生たちのアイドルであったことを覚えておられるかたも多いでしょう。

 

その高倉健が演じる侠気(男気)のあるヒーローたちは、義理と人情の板ばさみの中で義理をとって死場に赴くというエートスを大いにスクリーン上に発揮し、左翼学生を含む日本人の琴線に触れたのでした。


その高倉健は、シナ人がもっとも愛する日本の俳優でもあるのです。

 

それは安部氏の上記の言説を証明してもいるでしょう。

 

 

ここで、司馬遷が描写した遊侠たちについて引用すべきでしょうが、先を急ぐため省略します。興味のお持ちの方はどうか≪史記≫に直接あたってみてください。



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  1. 2008/03/31(月) 07:55:00|
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世界は変容する。変容させようとする力が作用するからだ。しかし、かってにそうはさせまいとする吾等の力を示そう。世界はやつらのものではなく、けっきょくは吾等のものであるべきだからだ。

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