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賀龍と包丁

 

あのついでといっちゃあなんですが、再録ついでに、以前に宮崎正弘センセーのメルマガに投稿して採用された駄文をここに再録させといてください。

 

貴誌通巻第1391号号の「読者の声4」に賀龍と包丁についての言及がありました。些細な事ながら、日本人の陥りやすい誤った中国理解の仕方、つまり日本の状況に即して相手もそうであろうとする考え方が、典型的に顕れていると思われますので(showa78さん、ごめんなさい)、あえて駄文を章し読者の皆さんの参考に付したいと考えます。


 「包丁一本さらしに巻いてーーー」と古い歌謡曲にありますように、日本人なら自然とコックを想像しますが、実はそうではありません。彼はヤクザがなりわいだったのです。そして、包丁は一本ではなく二本でなければなりません。そして、その包丁たるや、日本の菜切り包丁や刺身包丁、出刃包丁ではなく、ぜひ例のシナ包丁をイメージして下さい。肉を骨ごと、文字どうり、たたき切る、あの包丁です。ほとんど斧に近い代物で、むしろ一振り、二振りと数えるべきでしょう。(中文では、包丁は「一把、二把」と数え、この量詞、「把」は一「握り」、ふた「握り」と直訳されます。)


 賀龍と林彪との死闘を切り口に中国革命と「文化大革命」を物語った、権延赤著『龍虎闘』(天地図書出版、九七年、香港)はわざわざ一章、タイトルも「二振りの包丁で革命騒ぎ」をもうけて、賀龍の包丁による三回の「革命」を紹介しています。以下、拙訳により大約を概括します。


 其の一。一九一五年末、袁世凱が民国五年を「洪憲」と改元し、自ら皇帝に即位。それに対し孫文は護国(民国を守れ)を唱え、各地に反袁の武装闘争が巻き起こる。十六歳ですでに洪門会(哥老会)に入会し「龍頭大哥」と呼ばれ、いっぱしのオアニイさんだった十九歳の賀龍も武闘を志すも、武器がない。そこで包丁を武器に団防(地方民団)局を襲い二十丁の鉄砲を手に入れるも、すぐに鎮圧さる。使った包丁八振り、闘争参加人数三十余名。其の二。三ヵ月後、闘争参加人数二十一名、包丁三振りによる第二次蜂起。塩税局を襲い十二丁の鉄砲を奪取。山に逃げ込むも、またもや鎮圧さる。其の三。其の翌年、一九一七年。呉某と二人、各一振りの包丁で山道において二名の兵を襲い、これを殺害。湖北省一帯を縄張りにする土匪に合流す。


 たったこれだけの児戯にも等しい「革命」騒ぎが、なぜ有名になったかというと、後日談があります。


 第一次国共合作が、「北伐」途上の蒋介石による、国民党では「清党」と称する共産党弾圧で終わった、其の年、一九二七年秋、共産党は反撃のため、いわゆる「秋収蜂起」を企てます。後の大覇王、マオは勇躍闘争に参加しますが、見事に失敗し、退却の途上、江西省永新県三湾というところで隊列を整え、精鋭部隊のみを引き連れ井岡山に上ります。中国革命史における最大の山場のひとつです。そのさい、兵士を鼓舞するための演説の中に、この賀龍と包丁の故事が持ち出されるのです。曰く「賀龍同士は、たった二振りの包丁で家を起こし(革命を始め)、いまや軍長になり一軍を率いている。われわれは、両営の兵がいる、何を恐れることがあろうか。」


お気ずきでしょう、包丁の数が史実と違っていますね。では、なぜ二振りの包丁でなければならなかったのか? 以下、小生の推測ですが、答えは、おそらく水滸伝にあり。マオは幼い時より水滸伝を読むことを好み、井岡山に上ることも、革命全体のイメージも、それからヒントを得たとは、すでに定説です。当時、彼の頭の中は水滸の物語でいっぱいで、斧のような包丁を振り回す英雄好漢を想うとき、容易に、あの「黒旋風」、二振りの斧で敵をなぎ倒す李逵を想い浮かべたことでしょう。また、武術に長け、闘争精神旺盛なるも、思想は単純で宋江に簡単に篭絡されるような李逵は(それになぞらえられた賀龍もまた)、マオのような指導者にとり、扱いやすい部下であり、敗軍の隊列を整えるような際に持ち出すには、うってつけの人物だったのでしょう。  

この人口に膾炙した「歴史」は、マオ神話となり、そこに入れ込まれた賀龍と包丁の話も同時に神話化されました。だから、それは二振りの包丁でなければならなかったのです。賀龍本人も、革命成功後の回顧録で、史実を歪曲しマオの説話にあわせて、以下のように書いています。「一九一七年末、かって二振りの包丁から百余人の隊伍に発展させ、鄂(湖北)軍第一路総司令所属のゲリラ隊司令に任じた」と。

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